「食材」と「中薬」
「日遇七十二毒(毎日72の毒に遇う)」昔の人はそこらにある雑草や果実を食べ、水を飲み、腐った貝を食べていたのでよく食中毒や病気になったそうです。
医薬の祖として知られる神農は、民衆の病気を治すために、多くの草を食べて試し、多くの毒も食べてしまいましたが、茶によって解毒されたそうです。これが食による治療の始まりでした。
以前、神田明神の地下のギャラリーで、神農のイラストをみました。鬼のような顔で草を食べている様子がとても印象的でした。たしか写真を撮ったはず、と探してみましたが見つからず。水没させてしまった携帯電話の中にあるのかもしれません。ここに載せられず残念です。

こうして、長い長いあいだの積み重ねで食べられるもの、薬効があるものに分かれていきました。
穀類・肉類・魚・野菜など、口当たりのよいものは「食材」に、生姜・葱白・紫蘇・ドクダミ・センナなど薬効があるものは「中薬」に分類されました。
お酒の誕生
文字による最も古い記載が残されている紀元前2000年くらいに、儀狄(ぎてき)という人がお酒をつくって王に献呈した記録があるそうです。
炊いた穀類や米飯の残りが自然に発酵してお酒になったことをみつけたのがはじまりだそう。また、この時代の青銅器で一番多く発掘されているのが酒器で、お酒がよく飲まれていたことが証明されています。
西周時代(紀元前1066~紀元前771)に書かれた『詩経』には、「大きな酒器でおいしい酒を飲んで酔い、健康長寿を祈る」と書かれていて、当時のお酒事情がうかがいしれます。その種類も甜酒、濁酒、苦酒などがあって、酒は普段の飲用以外にも行事や治療にもよく使われていました。
「医」の古字は「醫」と書きます。下にある「酉」は「酒」と同じ意味で、お酒を使って医療行為を行っていたことを表しています。このように、お酒と医学のつながりは深く、のちの薬酒に大きな影響を与えました。
お酒を飲むと体が温かくなり、気持ちもゆったりと安らぎますよね。最初の一口の幸せな気持ちは何物にも代えがたいものがあります。ただ皆さんもご存知の通り、呑み過ぎは身体に毒ですので、ふわっとリラックスできたら、もうおしまいにしましょうね。これは、私自身に一番言いたい。
お酒の性質
お酒は「祛風湿類」に分類されます。祛風湿類は、筋肉、経絡、筋骨に侵入した風寒湿邪気を取り除きます。神経痛や腰膝疼痛、リウマチなど寒くて痛むような症状に使われます。
食薬の多くは、性味は辛味、苦味で温性、涼性によって風湿邪気をとりのぞきます。散寒、疏筋、通落、止痛、活血、補肝腎、強筋骨などの作用をもっています。
酒
(温/辛・甘・苦/肝・腎・膀胱/祛風湿類)
効能は「行気活血」「散寒止痛」「風寒痺痛」「心腹冷痛」
今日は、お酒をとりあげてみました。痛みにも良さそうですが、たくさん飲んで痛みをわからなくするようなのはNGです。くれぐれも飲み過ぎないように!
今日の一品

黒糖黒豆
黒豆(平/甘/脾・腎・胃/利水滲湿類)
黒糖(温/甘/肝・脾・胃/温裏類)
シナモン(大熱/辛・甘/脾・心・腎・肝/温裏類)
塩
腎をあたためて、冬を乗り切りましょう。もうすぐ立春です。
コメント