五臓と五気
黄帝内経素問の宣明五気篇によると、五臓(肝、心、脾、肺、腎)を悪くする自然の刺激は、風、暑、湿、燥、寒の五気だそうです。
春に活発になる臓器は肝。中医学でいう春は、立春から穀雨の期間です。
肝は風を嫌う。
風のため、筋脉(筋と血脈)が硬直、麻痺し、肝は風病になりやすい。
心は暑を嫌う。
暑熱のため、陰気が減少し、心は熱のため病む。
脾は湿を嫌う。
水分がたまると筋肉が浮腫して、脾は湿のため病む。
肺は燥を嫌う。
燥は肺気の宣発を引き止めて、肺の病をおこす。
腎は寒を嫌う。
寒は陰精を乾かして、腎を悪くする。
肝が病むと涙が出る。
肝は目に竅(あな)をあけ、目から涙が分泌されるのである。
心が病むと汗が出る。
心は血を司り、血から汗が分泌されるのである。
脾が病むと涎(よだれ)が出る。
脾は口に竅をあけ、口から涎を分泌するのである。
肺が病むと鼻水が出る。
肺は鼻に竅をあけ、鼻から鼻水を分泌するのである。
腎が病むと唾(つば)が出る。
腎の脉(みゃく)は舌に通じ、舌から唾を分泌するのである。
以上、「まんが黄帝内経-中国古代の養生奇書ー」より引用。
風邪(ふうじゃ)
春になると温かい風が東から吹いてきて、草木は新芽が萌えだし、動物は冬眠から目覚めます。それと同時に、春は自然界の陰陽消長が入れ替わる時期(春分を境に陽が大きくなっていきます)で、気候が不安定となり、風邪(ふうじゃ)となることが多いです。

特徴
◎風は陽邪で、軽揚開泄(軽く、上昇・発散する)、身体の上半身と肝を痛めやすい
◎風は百病之長といわれ、春の風、夏の風、秋の風、冬の風と四季にわたり一年中吹いているので、ほかの邪気と一緒に身体に侵入する
◎善行(病位の不固定、移動する)、数変(病症に変化が多く、進行が速い)のため、発病が急でまた変化が速い
◎風性主動(病症が動揺する、不安定である。めまい、震え、痺れ、麻痺、痙攣など)のため、症状は非固定性である
症状
①熱、微汗、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、咽喉痒痛、微咳
風邪の侵入により腠理(皮膚、筋肉の細かいあや、あるいはまじわるところ)が弛んで体表に巡っている衛気が痛み、肺の呼吸機能が乱れる。
②目の充血、目やに、顔面のむくみ、めまい、のぼせ、頭痛
風邪の(ふわっと上に発散する)軽揚開泄の特徴により、体表、頭面部および上半身と肝経の症状がよくみられる。
③肢体麻痺、痙攣、皮膚掻痒(そうよう)
風邪が皮膚、経絡に侵入すると気血の流れに影響し、肝の筋を司る働きを障害する。
※肝は蔵血によって筋を潤しながら支配し、関節の動きを円滑にする
。
④春かぜ:熱、微汗、くしゃみ、鼻水、咽喉痒痛、微咳、目の充血
夏かぜ:高熱、顔色が紅赤、大汗、のどの渇き
秋かぜ:皮膚の乾燥、目の疲れ、空咳、のどの渇き
冬かぜ:悪寒、熱、のどの腫れと痛み、頭痛、咳、痰
⑤めまい、頭痛、関節、筋肉の遊走的な痛み、麻痺、筋肉がつる
症状の非固定性と悪化しやすいことが特徴である
治療法と食材
治療は「辛涼解表」で、辛味によって邪気を発散し、涼性によって熱をとります。解表法というのは、発汗作用によって体表に侵入する邪気を取り除く方法です。
よく使う食材は、ごぼう、菊、くず粉、桑葉、薄荷、葛根、淡豆鼓です。
今日の一品~白玉ぜんざい~

小豆(平/甘・酸/心・小腸/利水滲湿類)
砂糖(平/甘/脾・肺)
上新粉(平/甘/脾・胃・肺/補気類)
上新粉はうるち米の特徴を記載しています。
甘は脾に入ります。まだもう少し寒い時期が続きますので、身体を温めながら脾胃をいたわるものを食べたいです。
もしあれば理気類の陳皮や柚子の皮をトッピングしてください。補気しているので、気を巡らせる理気類を足すのはよいです◎
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